安倍元首相の国葬絶対反対に基づく
八王子市教育委員会への要請書

 

2022年8月24日

八王子市教育委員会
教育長 安間英潮殿

三多摩労働組合交流センター



要 請 書


 私たちは、岸田政権が閣議決定した安倍元首相の国葬に絶対反対です。国葬を即刻中止させる立場から、半旗掲揚、黙とうなど弔意の表明を学校現場に要請・強制しないよう申し入れます。

(1)
 国葬に反対する第一の理由は、国葬が、安倍元首相を神格化し、大軍拡と改憲、中国への侵略戦争へと突き進む挙国一致体制づくりのための政治イベントだからです。
 安倍元首相が首相在職中に行ったことは、すべてが戦争と改憲のための攻撃でした。教育基本法の改悪や秘密保護法の制定、集団的自衛権の行使容認や安保戦争法の制定など、絶対に許すことはできません。
 それだけではありません。安倍元首相は死ぬ直前まで「台湾有事は日本有事」「敵基地攻撃能力」「防衛費2倍化」「核共有」など、中国への侵略戦争、憲法9条を足蹴にした大軍拡や核戦争を叫びたてました。
 そして岸田政権は、5月の日米首脳会談や「骨太の方針」を通してそれらを既定方針化し、その立場からウクライナ戦争にも参戦し、北大西洋条約機構(NATO)首脳会合に出席し、いまや「有事内閣」(=戦争内閣)として登場しています。
 国葬の狙いが、この道が正しい、進むべき道だと安倍元首相を神格化し、改憲・戦争への道を掃き清めることにあるのは明らかです。
 すでに全国民に黙とうや半旗掲揚を要請することが検討されているように、この国葬は、戦前と同様、国家をあげた国民総動員、戦争動員として狙われています。私たちは、再びの戦争への道を絶対に許すわけにはいきません。

(2)
 理由の第二は、すでに触れたように、「国葬」そのものが戦後の憲法を否定するものであり、戦争動員のための装置だからです。
 そもそも、国葬とは、明治時代に「天皇や国家に尽くした人物の死を国を挙げて悼む」として始められた、天皇制国家や戦争へと民衆を動員する政治的な儀式です。
 1926年、天皇勅令で定められた「国葬令」では、国葬は天皇・皇后の他、天皇が「国家に偉勲(特別の功績)ある者」に対して賜るものとされました。典型例をとれば、第二次世界大戦中の1943年、敗戦が濃厚になる中、連合艦隊司令長官・山本五十六の戦死を、国民の戦意高揚と戦争動員に利用するため、大々的に執り行われたのが国葬です。そして、その負の歴史から、敗戦後の1947年に「国葬令」は廃止されたのです。
 岸田首相は、内閣が「国の儀式」として閣議決定すれば実施できるとしていますが、法的根拠のない国葬を閣議決定し、実施すること、国費を投入すること自体が改憲攻撃です。

(3)
 第三に、7月12日に行われた安倍元首相の葬儀に際して、複数の自治体で半旗の掲揚、記帳所や献花台の設置等が行われ、東京都教育委員会を含む複数の教育委員会が公立学校に半旗の掲揚を要請したことが報じられました。事実上の弔意の強制、教職員や子どもたちの戦争動員の攻撃を絶対に許すことはできません。
 かつて学校が戦争動員の場となり、戦争の一翼を担った歴史を反省し、戦後、日教組は「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて戦争絶対反対で闘ってきました。昨年、東京五輪における「学校連携観戦プログラム」が「令和の学徒動員」と呼ばれ、多くの学校で中止に追い込まれたことは、そのような闘いが今も現場に息づき、不当な政治介入、戦争動員をはね返す力を持っていることを示しました。国葬とは、この力をおそれる岸田政権が、教職員組合をつぶし、団結を破壊して戦争へと向かう攻撃です。だから絶対に許すわけにはいきません。

(4) 
 第四に、岸田政権の国葬の閣議決定はいまや完全に墓穴を掘っています。
 「安倍政治」と呼ばれた戦争政治は、一握りの大企業がすべてのアベノミクス、権力私物化の不正・腐敗や民主主義の破壊と一体でした。さらに、こうした政治が、「統一教会」との腐った関係のもとに行われていた事実が明るみになる中、いまや国葬への反対、怒りの声がいたるところから噴きあがっています。
 このような腐りきった国葬を強行することは絶対に許されません。

 私たちは、以上の点から国葬に絶対反対し、中止させるまで闘います。そしてその立場から、半旗掲揚や黙とうの要請・強制、戦争動員につながる一切の通知を市内の学校に対して行わないことを強く申し入れます。 

以上



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